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大阪地方裁判所 昭和53年(ワ)267号 判決 1980年2月22日

主文

一  被告は原告に対し、金一、〇〇〇万円およびこれに対する昭和五二年七月二五日から完済に至るまで年一割五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

主文一、二項と同旨の判決並びに仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、妻である尾張藤子(以下藤子という。)を代理人として、浅野さくに対し、別表(一)番号1ないし9記載の各貸付年月日に各貸付金額を各弁済期に返済する旨の約定でいずれも借用証書を作成のうえ貸付けた。

なお、同表番号3.4.6記載の貸付金の借用証書上の借主名義は植園登美子に、同表番号5のそれは浅野安治にそれぞれなつているが、いずれも単に名義上のものであつて、真実の借主は浅野さくである。

2  原告代理人の藤子と浅野さくは、昭和五二年七月二五日、前項記載の貸付金合計金一、〇〇〇万円を一口の貸金とし、原告を貸主、浅野さくを借主として次の約定のもとに金一、〇〇〇万円の準消費貸借契約(以下本件契約という。)を締結した。

(一) 弁済期 昭和五二年一二月三一日

(二) 利息  月五分として毎月五日に支払う。

なお、浅野さくは、右契約締結の際、原告を名宛人とする金一、〇〇〇万円の借用証書(以下本件借用証書という。)を作成して藤子に交付し、そのため藤子は浅野さくに前項記載の従前の借用証書を返した。

3  被告は、昭和五二年七月二五日、原告代理人藤子に対し、浅野さくの原告に対する本件契約上の債務につき連帯保証する旨約し、本件借用証書に連帯保証人として署名捺印した。

4  よつて、原告は被告に対し、連帯保証契約に基づき、本件契約にかかる貸金一、〇〇〇万円並びにこれに対する本件契約の締結の日である昭和五二年七月二五日から弁済期である同年一二月三一日まで利息制限法所定の制限利率年一割五分の割合による利息および弁済期の翌日である昭和五三年一月一日から完済に至るまで右割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1.2の事実は不知。

2  同3の事実中、被告が昭和五二年七月二五日本件借用証書に保証人として署名捺印したことは認めるが、その余の事実は否認する。被告は、浅野さくから依頼されたため、印刷された不動文字以外は空白であつた本件借用証書に二、三万円程度の借金の保証人になるつもりで署名捺印したものである。

3  同4は争う。

三  抗弁

1(一)  仮に原告と浅野さくとの間で本件契約が締結されたとしても、原告が本件契約の目的とされたと主張する原告と浅野さく間の旧債務は存在せず、ただ浅野さくが藤子から別表(二)番号1ないし13記載の各借受年月日に各名目借受金額を借受けた各借受金債務が存在するだけであつた。

(二)  従つて、本件契約の目的である旧債務は存在しないから本件契約は無効である。

2(一)  仮にそうではなく、本件契約の目的は、浅野さくが藤子から借受けた債務であるか、また、浅野さくが藤子から従来借受けていた金銭消費貸借は、藤子が原告の代理人として浅野さくに対し貸付けていたものであつて、それが本件契約の目的であつたとしても、浅野さくは藤子(仮に同人が原告の代理人であるとするならば原告、以下同じ。)から別表(二)番号1ないし13記載の各名目借受金額を借受ける際、利息制限法所定の制限利率を超過する高利の約定をしたうえ、同表天引額欄記載の金額を天引された。そして、浅野さくは藤子に対し、同表元本返済金額欄および支払利息額欄記載のとおり元本および利息を支払い、また右各借受金債務の弁済として、昭和五一年九月四日に金五〇万円、同月六日に金七〇万円、同月七日に金六〇万円、昭和五二年三月二七日に金五〇万円を充当方法を定めずに支払つた。

(二)  そうすると、本件契約の目的である浅野さくの藤子に対する昭和五二年七月二五日現在における右借受金債務は、各名目借受金額から元本返済金額並びに利息制限法所定の制限利率により算定した利息額を超過する各天引額および各支払利息額を控除し、前記充当方法を定めずに支払つた金員を法定充当した残額の限度で存在するに過ぎず、従つて、それを超える金額について本件契約は一部無効である。

3  相殺

(一) 浅野さくは原告から別表(三)番号1ないし9記載の各借受年月日に各名目借受金額を、利息制限法所定の制限利率を超過する高利の約定で、各天引額を天引されたうえ借受けた。浅野さくは原告に対し、同表記載の各元本返済年月日に各元本返済金額を返済し、又各支払利息額を支払つた。

(二) そうすると、利息制限法所定の制限利率により算定した利息額を超過する各天引額および支払利息額は、原告において不当に利得したものであるから、浅野さくは原告に対し、右金員につき不当利得返還請求権を有する。

(三) 浅野さくは、昭和五三年一〇月三〇日、原告に対し右請求権を自働債権、原告の浅野さくに対する本件契約上の債権を受働債権として対当額にて相殺する旨の意思表示をした。

(四) 従つて、原告の浅野さくに対する右債権は右の限度で消滅したものである。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1(一)の事実は否認する。同1(二)は争う。

2  同2(一)の事実は否認する。同2(二)は争う。

3  同3(一)の事実は否認する。同3(二)は争う。同3(三)の事実は認める。同3(四)は争う。

第三  証拠(省略)

別表(一)

<省略>

別表(二)

<省略>

別表(三)

<省略>

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